会長挨拶

第43回東北ペインクリニック学会 会長
岩手医科大学医学部麻酔科学講座 大畑光彦

《第43回東北ペインクリニック学会の開催にあたって》


 第43回東北ペインクリニック学会を盛岡市で開催できますこと大変光栄に存じます。
 現代社会では「痛み」への関心が高まり、我々ペインクリニックに携わる者に対する期待も高まっている現状であります。
医学の進歩に伴い「痛み」のメカニズムについても、感覚刺激受容系の分子的な痛み伝達の新知見や、一次ニューロンや脊髄後角・神経線維を取り巻くグリア細胞において、「痛み」の持続などによって神経系の構造・機能の変化をきたす場合があることが指摘されております。最近では機能的MRIなどの脳画像情報などから、痛覚信号の脳内でのネットワーク:ペインマトリックスが提唱されるようになりました。それには痛覚信号の大きさや継続期間、あるいは痛みの経験や記憶、生活環境、運動習慣、ストレス、また気質・性格など様々な因子が影響すると考えられています。痛覚信号が「痛み」として表現されるまでの過程を考慮していくことが痛みの治療に必要になってきているのだと思います。
 そのような背景をふまえまして今学会では、「痛み」に関わるネットワークのうち特に「運動」に関するものと「気質・性格」に関するご講演を企画しました。教育講演としまして岩手医科大学リハビリテーション医学科の西村行秀先生には、リハビリテーション分野からみた痛みについてのご講演をお願いしております。また特別講演としまして東京大学痛みセンターの笠原諭先生には精神神経分野からみた痛みのご講演をお願いしております。
 また会員の皆様の日頃の貴重な診療経験、診療方法などを一般演題として多数ご発表いただけると幸いです。
 今学会が皆様のご診療に貢献できることを祈念しご参加をお待ちしております。